センセイと一緒【完】
鈴菜が進路調査票を机の上に出すと、柊史は期末テストの結果表と見比べて考え込んだ。
……その、何とも言えない表情。
鈴菜はずーんと落ち込みながら、柊史の顔を見つめていた。
「第一志望の国立文系は、今のままでは厳しいな」
「……」
「大学にもよるがな。私立文系ならもう少し選択の幅は広がるだろうが……」
鈴菜は肩を落とした。
鈴菜はこの高校に入った時から国立文系を志望している。
第一志望は家から通える範囲にある、近隣の国立大学だ。
それは鈴菜の希望というより、家の経済的事情が大きいのだが……。
「しかし今回の下がりようはハンパじゃねえな。何かあったのか?」
柊史は鋭い。
普段の言動からはあまり想像できないが、生徒一人一人をちゃんと見ている。
そういうところも生徒に人気がある所以なのだが……。
しかし、まさか失恋しましたなどと言えるわけもない。