センセイと一緒【完】
しかしできないものはどうしようもない。
鈴菜は焦りながらも5投まで投げた。
その時。
ピピピという音が椅子の方からした。
見ると、柴山さんの携帯が光っている。
「はい、もしもし」
柴山さんは携帯を取り、電話に出た。
……その顔がみるみるうちに強張っていく。
「ええっ? インフルエンザ!?」
どうやら家からの電話らしい。
柴山さんは通話の後、携帯を閉じ、申し訳なさそうに鈴菜を見た。
「すみません、森下先輩。今、弟から電話があって。インフルエンザに罹っちゃったみたいで……」
「……」
「申し訳ないんですけど、帰らせてもらってもいいですか? うち、母が深夜まで仕事してて……あたし、弟の面倒を……」
「わ、わかったよ、柴山さん!」