センセイと一緒【完】
ふと教室の前を見ると、和泉が無言で黒板を消している。
特に誰がやると決まっているわけでもないが、和泉はわりとこういうところに気が付く。
大雑把でさっぱりした性格なのに、気が利くところもある。
そのギャップもモテる要因なのだろう。
次が生物の授業であることを思い出し、鈴菜は教科書とノートを準備した。
ノートを開き、前回の宿題をやってあることを確認する。
と、顔を上げた時。
和泉がこちらに歩み寄ってくるのを見、鈴菜は眉を上げた。
「どうしたの、和泉?」
「鈴、……宿題、やってある?」
鈴菜の耳に唇を近づけ、こそっと和泉は言う。
鈴菜はがっくりと肩を落とした。
和泉は頭はいいのだが、宿題を忘れることに関しては天才的だ。
鈴菜は呆れた声で言った。