センセイと一緒【完】
そして年が明け、正月。
鈴菜は姉とともに近くの八坂神社に初詣に来ていた。
八坂神社はさほど広くなく、鳥居をくぐるとすぐに本殿や手水舎、そして小さな社務所が見える。
神社の周りは木々で覆われており、小さいながらも鎮守の杜となっている。
「ねぇ、お姉ちゃん……」
「なぁに?」
「昔、ここに遊びに来たことってあったっけ?」
鈴菜の言葉に、姉の春菜は首を傾げた。
「え? ここに?……覚えてないけど、ないんじゃないかな」
「……うーん、そっか……」
鈴菜はふぅと息をついた。
前に和泉にも聞いたが、やはりここで……昔、誰かと遊んだような気がする。
誰だったのか……。
けれどそれを思い出そうとすると、胸の奥が引き攣れるように痛む。
記憶の糸は途中で途切れ……どうしても思い出せない。