センセイと一緒【完】



いつも直樹は爽やかで明るい視線を鈴菜に向けてきた。

これまでに見たことのない、その苦しげな瞳に鈴菜は驚き息を飲んだ。


「じゃあくじを持って来い。並んで一人ずつ引いていけ」


クラスがガヤガヤと騒音に包まれる中、鈴菜も並んでくじをひいた。

そしてクラス全員が引き終わった後、柊史の号令とともに一斉に移動が始まった。





10分後。

席替えの終了とともに休み時間に入った。

鈴菜は真ん中の後ろの方の席になった。

直樹は右の前の方の席になったようだ。

さっきの視線が少し気になるが、今更聞きに行くのもちょっと憚られる……。

と、直樹の後姿を見ていた鈴菜の肩にぽんと手が置かれる。


「鈴っ!」


和泉だ。

ちなみに和泉はどんな偶然なのか、鈴菜の隣の席になった。

和泉は上機嫌な顔で鈴菜の顔を覗き込む。

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