センセイと一緒【完】
<side.直樹>
教室の後ろの方から、和泉と鈴菜、そして女子達の楽しそうな笑い声が聞こえる。
直樹ははぁと息をつき、椅子の背に凭れ掛かった。
まだ、鈴菜の隣が和泉で良かったかもしれない。
もし他の男子生徒が鈴菜の隣に来たら……自分は嫉妬を隠せないだろう。
半年前までは感じなかった感情。
……けれど、今は。
鈴菜の隣に他の男が座るのは許せない、と思ってしまう。
「……」
直樹は目を閉じ、鈴菜の声に耳を傾けた。
和泉や他の女生徒たちの大きな声に混ざって聞こえてくる、控えめな、けれど鈴のように心地よい声。
去年の春。
……鈴菜が転入してきた時。
直樹は鈴菜の顔を見、息を飲んだ。
記憶の中にある、お下げの女の子の面影と全く同じ瞳。
それは、直樹の中の懐かしく温かい記憶だった。