センセイと一緒【完】
「せ、先生っ!」
「うるせぇな。黙ってついて来い」
「で、でも、あのっ……」
このままでは自分だけでなく柊史も濡れてしまう。
鈴菜は柊史の手から抜けようとした。
その弾みでぼたぼたっと水滴が床に落ちる。
……その水滴が柊史の手にかかったとき。
鈴菜の首の後ろを掴む柊史の手に、ぐっと力が込められた。
「鈴っ!」
――――あの時と同じ呼び方。
鈴菜は息を飲んだ。
そんな鈴菜を柊史の手がぐいと引き寄せる。
……間近に迫る黒い瞳。
至近距離にある柊史の瞳に鈴菜は視線を奪われた。