センセイと一緒【完】
息を潜め、見つめる鈴菜の視線の先で。
村居さんは尚哉を見上げ、声を上げる。
「……先生っ、あたし、先生が好きです」
――――どうやら告白の現場に居合わせてしまったらしい。
下手に動くと気付かれそうなので、どうすることもできない。
息を殺して様子を伺う鈴菜の視線の先で、尚哉は瞳を伏せた。
「すみません、村居さん。あなたの気持ちに応えることはできません」
「先生っ……」
村居さんは哀しげな顔で尚哉を振り仰ぐ。
村居さんはポケットから封筒を取り出し、尚哉に差し出した。
どうやらラブレターらしい。
眉を潜める尚哉に、村居さんはラブレターを突き付ける。
「先生、お願いします、読んで下さるだけでいいのでっ……」
「……いえ、受け取れません。僕は……」
「先生っ!」