センセイと一緒【完】



村居さんは尚哉の手を取り、無理やり封筒を握らせた。

村居さんは思っていたよりかなり積極的らしい。

驚く鈴菜の目の前で、尚哉は封筒を手にした。


……が。


ビリ、と紙が破れる音が辺りに響く。

尚哉は両手で封筒を掴むと、躊躇うことなく真中でそれを引き裂いた。

呆然とする村居さんの手に、尚哉は破いたそれをそっと握らせる。


「……」


鈴菜は目を見開き、それを見つめていた。

まさか白崎先生が、こんな……。

尚哉は少し痛ましげな目で村居さんを見つめ、口を開く。


「僕はこういうことが平気でできる人間です」

「……っ」

「あなたの気持ちを受け入れることはできません。僕のことは忘れてください」


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