センセイと一緒【完】
<side.尚哉>
桜の花びらが、海からの夜風に舞って散っていく。
その薄紅色の花びらを眺めながら、尚哉は息をついた。
……まさかこんなところを鈴菜に見られるとは思っていなかった。
運命は何処まで残酷なのか。
海風に乗って散っていく桜の花。
何処に行くとも知れない、その花びら……
……まるで自分の心のようだ。
そう、あの日も。
――――春風の中。
桜が雪のように舞っていた。
尚哉はそっと目を閉じた。