センセイと一緒【完】
鈴菜は自分のことを忘れている。
ただ忘れただけなのか、それとも忘れたくて忘れているのかはわからない。
尚哉は手を拳に握りしめ、自嘲するように笑った。
……どうにもならない。
どうにも、ならないのだ。
諦めなければならないとわかっている。
未来がないこともわかっている。
けれど、まだ諦めきれない。
今はひたすらこの感情を押さえていることしかできない。
尚哉は桜を見上げ、ため息をついた……。