センセイと一緒【完】
ますます落ち込む鈴菜の視線の先で、柊史は物差しで隣の直樹を指した。
「いちいち指してくのはめんどくせぇな。笠原、答え全部言ってくれ」
――――なんて滅茶苦茶な。
唖然とする鈴菜の横で、直樹は動じた様子もなく淡々と自分の答えを読み上げていく。
柊史は確認するように頷きながら無言でそれを聞いていた。
何も言わないところを見ると、恐らく全て合っていたのだろう。
「というわけだ。じゃあ今日の授業に入る。今日はヘモグロビンと酸素についてだ」
柊史は教科書を片手に黒板に書いていく。
……見た目や口調にそぐわない、とても綺麗な文字。
鈴菜はそれをノートに書き写しながら、はぁと息をついた。