センセイと一緒【完】
5.キスの意味
翌日。
鈴菜は読谷村にある工房で陶芸にチャレンジしていた。
沖縄では焼物のことを『やちむん』と言うらしい。
皿やマグカップなど、いくつかあった選択肢の中、鈴菜は皿を選んだ。
隣で和泉はビアグラスを作っている。
「どう? 見てよ鈴! この前衛的な形!」
自分で前衛的というところが和泉らしいというか何というか。
しかし見てみると、確かにあまり見たことのない形をしている。
見回っていた陶芸の先生が、和泉のグラスを見てほぅと声を上げた。
「なかなかセンスが良いですねー。珍しい形です」
「でしょー?」
和泉は上機嫌でろくろを回している。
その隣で鈴菜も皿を作っていた。
ちなみに今日はこれから北に向かい、昼ご飯の後、今帰仁城跡を見学するらしい。