センセイと一緒【完】
放課後。
鈴菜は直樹とともに学級新聞の内容を考えていた。
何を載せるべきか考えていた鈴菜だったが、ふと先ほどの生物の授業を思い出し内心で小さなため息をついた。
柊史とはまだ鈴菜と和泉が幼い頃、何度か一緒に遊んだ思い出がある。
小学校低学年の頃のことなのでよく覚えてはいないが……。
しかしその後鈴菜は父親の転勤でこの町を離れ、それから今年の春に桜羽南高校に転入するまで、柊史とは全く会っていなかった。
それもあってか、鈴菜は柊史にどこか距離を感じてしまう。
柊史もそれは同じらしく、昔は『柊ちゃん』『鈴』と下の名前で呼び合っていたのだが、今は苗字だ。
教師と生徒という立場上、それが正しいと言えば正しいのだが少し寂しい感じもする。
「……どうしたの、森下さん?」
物思いに耽っていた鈴菜に、直樹が心配そうに声をかける。
鈴菜は慌てて首を振り、直樹を見た。
「ご、ごめんね。ちょっとぼーっとしてて」
「大丈夫? ……教室、暑いからね。何か飲み物でも買ってくるよ」