センセイと一緒【完】
もし和泉が声をかけなければ、キス以上のことをしてしまったかもしれない。
そういう意味では自分は和泉に感謝すべきなのだろう。
けれど……
あの時は暗闇だったため、鈴菜の表情が全く見えなかった。
自分のことを鈴菜がどう思ったのか。
自分の想いは伝わったのだろうか。
しかし今日の鈴菜の表情を見る限り、昨日と変わった様子はない。
――――知りたい。
鈴菜が自分をどう思っているのか、知りたい。
もう潮時なのかもしれない。
想いを伝えたい。
鈴菜がどんな答えを返すにしろ……このまま黙っているのは辛すぎる。
直樹はひとつ息をつき、ちらりと鈴菜を見た。
……昔から変わらない、あの瞳。
純粋で澄んだ、あの瞳。
あの瞳に映るのは自分だけでありたい。
……鈴菜を独占したい。
直樹はぐっと手を拳に握りしめた。
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