センセイと一緒【完】
午後。
鈴菜は今帰仁城の石畳を歩いていた。
今帰仁城は沖縄本島の北部にある史跡で、世界遺産になっている。
鈴菜は渡された資料を片手に、主郭や庭の跡を見ながら城内を散策していた。
御内原と呼ばれる高台からは、今帰仁村やその向こうに続く青い海、そして海に浮かぶ島々を眼下に眺めることができる。
鈴菜はしばらく景色を眺めた後、もと来た道へと戻った。
既に他のクラスメイト達はバスの方へと向かっている。
和泉も他の女子生徒たちと一緒に、先に戻ったようだ。
……少しのんびりしすぎたかもしれない。
と、石畳を歩いていた時。
木陰に柊史の姿を見つけ、鈴菜は眉を上げた。
どうやら柊史は一人のようだ。
しかも周りに生徒はいない。
……これは相談するチャンスかもしれない。
鈴菜は足早に柊史に歩み寄った。
「黒瀬先生」