センセイと一緒【完】
鈴菜の言葉に柊史は目を見開いた。
メタルフレームの眼鏡の奥の黒い瞳が、鈴菜を正面から見据える。
どうやら柊史にとっても意外な質問だったらしい。
「……なんだ? いきなり」
「す、すみません。あの、えっと……」
と、まごつく鈴菜の前で。
柊史の瞳が、すっと細められた。
……その艶のある瞳の中によぎる、鋭い光。
鈴菜は吸い寄せられるように柊史の瞳を見つめた。
「何かあったのか?」
「……」
「お前が、何もなくそんなことを聞くわけはねぇな?」
柊史は言い、鈴菜に正面から向き直った。
両手で鈴菜の腕を掴み、じっと顔を覗き込む。
……真剣な瞳。
鈴菜はその迫力に押されるように、ただ体を固まらせていた。