センセイと一緒【完】
「あくまで生殖行為としては、だがな。愛情行為としてはまた別だ」
「……」
「キスの意味なんてのは人によって違う。特定の相手がいたとしても、他の女にキスできる奴もいる。あいつがそうかどうかは、オレにはわからないがな」
柊史はいつものハスキーなバリトンの声で言う。
鈴菜は柊史の言葉を驚きとともにただ聞いていた。
特定の相手がいたとしても、他の人にキスできる人もいる……。
驚く鈴菜に、柊史はくすりと笑って言った。
「……試してみるか? 鈴」
「え?」
「キスにどんな意味があるか。……オレのキスとあいつのキスを比べてみれば、何かわかるかもしれねぇな?」
言い、柊史は鈴菜の背に腕を回し、抱き寄せた。
驚き顔を上げた鈴菜の顎を、柊史の指がそっと掴む。
……鈴菜を見つめる、黒い瞳。
鮮やかな、妖艶な瞳……。