センセイと一緒【完】
鈴菜はなすすべもなく、ただ柊史を見上げていた。
まるで魂を吸い取られていくかのように、動けない。
そう、まるで……
蜘蛛の糸に絡め取られたかのように……。
呆然と見上げる鈴菜の唇に柊史の唇が近づく。
薄い桜色の、完璧なラインを描く唇。
しかしそれは数センチのところで、ぴたりと止まった。
くすりと柊史が笑う。
「……冗談だ」
「っ!!」
柊史は笑いながら鈴菜を解放した。
鈴菜は思わず後ずさり、柊史を見上げた。