センセイと一緒【完】
6.切ない想い
夕方。
鈴菜は班ごとのフィールドワークに参加していた。
フィールドワークは研究対象ごとにそれぞれ5人づつの班になり、バスなどで移動しながら沖縄の史跡や文化施設を巡るものである。
鈴菜は沖縄の文化を研究するというフィールドワークを選んだ。
同じフィールドワークの班は4班あり、尚哉が引率を担当している。
「きれいだな~」
鈴菜の班は備瀬のフクギ並木を見た後、沖縄海洋博公園に移動した。
沖縄海洋博公園には日本で最も大きな水槽がある『沖縄美ら海水族館』があり、海岸線に沿って公園や散歩道が整備されている。
水族館を見た後、鈴菜は散歩道から海を眺めていた。
ちょうどここから見ると、紺碧の海の向こうに、帽子のような形の島が見える。
鈴菜は島を眺めながら、先ほどの柊史の言葉を思い出していた。
『特定の相手がいたとしても、他の女にキスできる奴もいる』
そうなのだろうか。
愛情がなくてもキスはできるものなのだろうか……。