センセイと一緒【完】
けれどあの時の直樹の唇は……
……あの掠れた囁きは。
そうではないような気もする。
よくはわからないが……。
「……」
そして、さっきの柊史の……。
鈴菜は頬を赤くした。
多分柊史はからかっただけなのだろう。
けれどあの時、まるで吸い寄せられるように……柊史の瞳から目を離すことができなかった。
昔はあんな瞳を自分に向けることはなかった。
鈴菜の知らない柊史の一面。
胸がドキドキし……けれど危険な予感もする。
――――これ以上踏み込んではならない。
それは予感なのか、直感なのか……
もし柊史のあの一面を深く知ってしまったら、取り返しのつかないところまで行ってしまいそうな気がする。
なんとなく、だが。