センセイと一緒【完】
尚哉は言いながらじっと鈴菜を見つめた。
……ひどく切なげなその瞳。
見ているだけで胸が締め付けられるような気がする。
無言で見つめる鈴菜の前で、尚哉はふっと視線を逸らした。
「……でもね、辛い。たまにとても、辛くなるんです」
「白崎先生……」
「たまに、立場も何もかも全て忘れて、彼女に想いをぶつけたいって思うことがあります。……そう、今もね……」
ふふ、と尚哉は笑って鈴菜の頭に手を伸ばした。
優しく、そして愛しげなその手付きに鈴菜はカッと頬が赤くなるのを感じた。
なんだろう、この感情……。
やがて尚哉は鈴菜の頭から手を離し、水族館の方を振り返った。
「そろそろ集合時間ですね。行きましょうか?」
「……はい……」