センセイと一緒【完】




「……ちょっと鈴。それ、何?」

「何って……」


鈴菜は首を傾げてカードの山を見た。

……普通に出しただけなのだが。

怪訝そうな顔をする鈴菜の横で、和泉の顔から血の気が引いていく。


「……それさ。『ドボン返し』になってない?」

「……え?」

「前の人のドボンを無効にする秘技中の秘技。……って鈴、何てことしてくれんの!?」


和泉は叫び、鈴菜を見た。

……その切羽詰まった表情。

いつも飄々とした和泉のその表情に、鈴菜は息を飲んだ。

その向かいで、直樹や武田君が楽しげに笑っている。


「まさか森下さんが『ドボン返し』をするなんてね」

「オレ、初めて見たぜ! これがドボン返しか~」



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