センセイと一緒【完】




しかし……

直樹と鈴菜は一体どうなっているのか。

柊史は今日、今帰仁城で鈴菜に相談された時のことを思い出した。

……あの時。

直樹が鈴菜にキスしたと知った瞬間、心の奥底から何かが突き上がってきた。

自分でも抑えられない衝動にかられ、鈴菜を抱き寄せていた。

鈴菜の顎を掴み、キスしようとしたところで……

鈴菜の目を見、はっと我に返った。


ずっと目を背けていた想い。

心の奥底に押し込めていた想い。

……今となっては許されない想い。


鈴菜は遥か上空を飛ぶ蝶だ。

……今、柊史はその蝶にどうしようもなく心を奪われている。




< 223 / 294 >

この作品をシェア

pagetop