センセイと一緒【完】
しかし……
直樹と鈴菜は一体どうなっているのか。
柊史は今日、今帰仁城で鈴菜に相談された時のことを思い出した。
……あの時。
直樹が鈴菜にキスしたと知った瞬間、心の奥底から何かが突き上がってきた。
自分でも抑えられない衝動にかられ、鈴菜を抱き寄せていた。
鈴菜の顎を掴み、キスしようとしたところで……
鈴菜の目を見、はっと我に返った。
ずっと目を背けていた想い。
心の奥底に押し込めていた想い。
……今となっては許されない想い。
鈴菜は遥か上空を飛ぶ蝶だ。
……今、柊史はその蝶にどうしようもなく心を奪われている。