センセイと一緒【完】
しかしなぜ、鈴菜は浜田のことを自分に相談しなかったのか。
なぜこんなことを、担任の自分に相談せず黙っていたのか。
見当違いだとわかっていても、苛立ちが募る。
――――鈴菜のことは全て知っておきたい。
それは担任として、……というのは表向きで……
実際は一人の男として、だが。
「……そんなこと言えるわけねぇ、か……」
柊史は自嘲するように笑い、グラスを手に取った。
そんな柊史を尚哉の瞳がじっと見つめる。
「……黒瀬。君は森下さんと笠原君のことを知ってたのか?」
「……」
尚哉の言葉に、柊史は無言でグラスを呷った。
……それを見、尚哉は眉根を寄せた。
何か言いたげなその表情。
柊史は軽く息をついた。