センセイと一緒【完】
『好きな女も守れない男を、あたしは認めない』
――――あの時まで。
鈴菜がどんな目に遭っていたのか、直樹は知らなかった。
まさに青天の霹靂だった。
しかし……
あの時、鈴菜を助けたのは和泉だ。
それは、事実だ。
『前に言ったよね? あたし以上の男でなければ、鈴には指一本触れさせないって』
直樹は唇を噛みしめた。
和泉の言葉は正面から直樹の心を突き刺した。
和泉がそう言うのも当たり前だ。
鈴菜にしてみれば……
自分は突然唇を奪った上、自分に危害を加えるファンを野放しにしている男、だ。
……最悪だ。
直接、鈴菜から聞いたわけではないが……。
考えれば考えるほど、心が追い詰められていく。