センセイと一緒【完】



「学級新聞を作ってたの。ほら、私、学級委員だから」

「……てことは笠原と一緒にずっといたわけ?」


どこか楽しげな目で和泉はじろりと鈴菜を見る。

……その、何か言いたげな目。

鈴菜は口をへの字に結んだ。

そんな鈴菜の顔を覗き込み、和泉は言う。


「ついにあたしから笠原に乗り換えるときが来たか?」

「……いや、そもそも乗ってないし」

「妬けるね~。もしあたしが男だったら、絶対に鈴を離さないけどね。果報者だよ、笠原は」

「イヤ、だから全然そんなんじゃないって……」


と言いながらも頬が赤くなる。

和泉はそんな鈴菜を楽しげに見ていたが、やがて首を傾げた。


「……で? 鈴はこれから帰るの?」

「進路希望調査票を出してから帰ろうかなって……」

「やべ。あたしもそれ、出してないや。鈴、紙取ってくるからちょっと待ってて?」


言うなり、和泉は教室の方に向かって走り出した。

廊下を駆け抜け、一段飛ばしで階段を上がっていく。

やがて2分後、調査票を片手に和泉が戻ってきた。



< 24 / 294 >

この作品をシェア

pagetop