センセイと一緒【完】
「学級新聞を作ってたの。ほら、私、学級委員だから」
「……てことは笠原と一緒にずっといたわけ?」
どこか楽しげな目で和泉はじろりと鈴菜を見る。
……その、何か言いたげな目。
鈴菜は口をへの字に結んだ。
そんな鈴菜の顔を覗き込み、和泉は言う。
「ついにあたしから笠原に乗り換えるときが来たか?」
「……いや、そもそも乗ってないし」
「妬けるね~。もしあたしが男だったら、絶対に鈴を離さないけどね。果報者だよ、笠原は」
「イヤ、だから全然そんなんじゃないって……」
と言いながらも頬が赤くなる。
和泉はそんな鈴菜を楽しげに見ていたが、やがて首を傾げた。
「……で? 鈴はこれから帰るの?」
「進路希望調査票を出してから帰ろうかなって……」
「やべ。あたしもそれ、出してないや。鈴、紙取ってくるからちょっと待ってて?」
言うなり、和泉は教室の方に向かって走り出した。
廊下を駆け抜け、一段飛ばしで階段を上がっていく。
やがて2分後、調査票を片手に和泉が戻ってきた。