センセイと一緒【完】
直樹の言葉に彼女ははっと顔を上げた。
そんな彼女の顔を直樹は辛そうな目でじっと見つめる。
「全ては君の誤解だ。……はっきり言っておくよ。俺は森下さんが好きだ」
「……っ、直樹君っ……」
「言いたいことはそれだけだよ。俺のファンをやめるならやめてもらって構わない。俺は君の期待には応えられない」
直樹は言い、彼女に背を向けた。
そのまま通路の方まで歩いたところで、和泉の姿を見つけて息を飲む。
和泉はくすりと笑い、直樹を見た。
「よくここで会うね? 生徒会長サン?」
「……芹沢は俺の尾行でもしてるのか?」
「ンなわけないだろ。ただの偶然だよ。……にしても……」
和泉は頭一つ分高い直樹の顔を見上げ、うっすらと笑った。