センセイと一緒【完】
「お待たせ」
あれだけ走っても全く息を乱していない和泉に驚きながら、鈴菜は渡り廊下の方へと歩き出した。
鈴菜は歩きながら和泉に聞いてみた。
「和泉は文系と理系、どちらを志望するの?」
「あたしは文系かな。鈴は?」
「私も文系。数学とか物理とか苦手だしね……」
と言いながら二人が渡り廊下を渡った、その時。
向かいの理科実験室から異様な匂いが漂ってくることに気づき、二人は眉を潜めた。
そっとドア越しに中を伺ってみると。
中には白衣を着た柊史と、5、6人の男子生徒がいた。
どうやら今日は生物部の活動日らしい。
「あ、兄貴だ。……ちょうど良かった、調査票を渡そうか」
と和泉が言い、ドアを開けたその時。
むわっとした、とんでもない悪臭が二人を襲った。
鼻が曲がると言うレベルではなく、鼻がもぎ取られるようなレベルだ。
思わずうっと口元を押さえた二人に、柊史が声をかける。