センセイと一緒【完】
柊史の言葉に、鈴菜は目を見開いた。
今の、言葉は……。
驚く鈴菜の前で、柊史は目を細めて少し笑った。
――――昔と同じ瞳。
ひぐらしが鳴く川原で、鈴菜を見つめていたあの黒い瞳。
その瞳に……今は、揺らめく熱のようなものを感じる。
昔と同じような、けれど昔とはどこか違う、その視線。
鈴菜はなぜか胸がドキドキするのを感じた。
「……柊ちゃん……」
頬を染めた鈴菜に、柊史は少し笑って片手を伸ばした。
鈴菜の頬に、そっと指先で触れる。
……愛しげな、労わるようなその指先。
やがて柊史の手が鈴菜の頬を包みこみ、優しく撫でた。
「……っ」