センセイと一緒【完】
柊史の親指が鈴菜の唇に触れる。
唇の形を確かめるように撫でる、その指先。
鈴菜をじっと見つめる柊史の瞳。
どこか妖艶な色が漂う、その漆黒の瞳……。
鈴菜は吸い込まれるように柊史の瞳を見つめていた。
これはあの時と同じだ。
この瞳を前にすると、鈴菜は身動きが取れなくなってしまう。
そう、まるで……
蜘蛛の糸に絡め取られていくように。
「……鈴」
ハスキーなバリトンの声。
オリエンタルなホワイトムスクの香り。