センセイと一緒【完】
納豆菌のコロニー。
……意味不明だ。
眉を潜める二人に、柊史はその艶やかな黒い瞳を細め、少し笑って言う。
「納豆菌はなかなかしぶとくてな。100度の湯で煮ても熱耐性胞子でしぶとく生き延びる。コロニーを作らせるためには……」
その艶っぽい微笑みについ目を奪われるが、言ってる内容は相変わらず意味不明だ。
柊史は昔から生物が好きだった。
生物部の活動も顧問である柊史がいろいろテーマを考えてやっているらしい。
しかし……これはちょっと……。
嫌そうな顔をする二人に、柊史は畳み掛けるように言う。
「培養地に何を入れればいいか、いろいろ試してるところだ。まずはこっちに来い」
言い、柊史の手が二人の肩をとんと実験机の方に押す。
一瞬鼻先に香った、オリエンタルなホワイトムスクの香りに鈴菜はドキッとしたが、その香りはすぐにかき消されてしまう。
「そこに並んでるのが培養地だ。そのシャーレは寒天、こっちが牛乳とスキムミルク」
「兄貴、あたしたちはまだやるって一言も……」
「うるさい。終わるまではここから出さねぇからな」
「ええっ!?」