センセイと一緒【完】
「お前な。突然オレの眼鏡を奪い取っていくとは、どういうつもりだ?」
「す、すみませんっっ」
鈴菜は頭を下げ、必死に謝った。
手を伸ばし、おずおずと柊史に眼鏡を差し出す。
そんな鈴菜に、……しかし柊史は軽く首を振った。
「お前が勝手に取っていったんだろ? じゃあお前が戻すのが筋だろうが」
「……え?」
鈴菜はぽかんと柊史を見た。
柊史は楽しげな目で鈴菜を見ている。
……その、美しい二重の漆黒の瞳。
眼鏡をかけていない柊史は、その黒い瞳や完璧な頬のラインが露わになっており、いつにもまして格好いい。
でも、戻すって……。
鈴菜は頬を染めながら、柊史に一歩近づいた。
「……」
「どうした? 早くしろ。急いでるんだ、オレは」