センセイと一緒【完】
くすりと笑い、柊史は言う。
昔から柊史はこういう時、鈴菜が困るのを見て楽しんでいた。
そういうところは兄妹で似ているというか何というか。
和泉も言っていたが、やはり人間そうは変わらないらしい。
鈴菜はひとつ息をつき、意を決して柊史の耳元に眼鏡のフレームを差し込もうとした。
――――その時。
その手をがしっと掴まれ、鈴菜は息を飲んだ。
「……やはり無防備だな、お前は」
という言葉とともに。
柊史の顔が目前に近づき、鈴菜は驚いて目を見開いた。
……頬に触れる、柔らかい感触。
「……っ!!」