センセイと一緒【完】
――――やはり、見られていた。
まずい。
ここは何としてでも無関係だと押し通さなければならない。
鈴菜は両手を握りしめ、尚哉を振り仰いだ。
「先生、さっきの……っ」
「覗き見するつもりはありませんでした。たまたま通りかかったら見えてしまったんです」
尚哉は掠れた低いテノールの声で言う。
……その、探るような鋭い瞳。
いつもの優しげな、落ち着いた雰囲気は微塵も感じられない。
白崎先生がこういう目をするなんて……
鈴菜は驚きのあまり硬直しながら、じっと尚哉を見つめていた。
「……でも、見てしまったからには黙っているわけにはいきません」
「……っ」
「森下さん。黒瀬先生とはどういう関係ですか?」