センセイと一緒【完】




和泉いわく、その生き物好きが高じて生物教師になったらしい。


『ほら、見てみろ、鈴』

『……柊ちゃん?』


柊史は生き物や植物を採ると、両手の掌でそれを包み鈴菜の前に差し出した。

そして、そっと手を開くと……。


『うわぁ……』


手の中にいたのは、オタマジャクシだったり、ウスバカゲロウだったり……。

目を輝かせる鈴菜に、柊史はその綺麗な黒い瞳を細めて笑った。

ひぐらしが鳴く夕暮れの川辺で、夕陽に染まっていたあの黒い瞳。

あの楽しそうな……懐かしい笑顔。

教師となった今ではあまり見ることはないが、興味の対象は今も昔も変わらないらしい。




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