センセイと一緒【完】



その帰り道。

鈴菜と和泉はバスを降り、市街を歩いていた。

夕方までは学校から鈴菜たちの家の方面に直通で行くバスがあるのだが、この時間になると直通バスがなくなるため、別の路線バスで途中まで行き、後は歩かなければならない。

街灯が照らす暗い夜道を歩きながら、鈴菜はふと足を止めた。

鈴菜の視線の先に、大きな赤い鳥居がある。

脇の石碑には『八坂神社』と刻まれ、樹齢何年だろうか、大きな杉の木が鳥居の両脇で夜風に葉を揺らしている。

鬱蒼と杉の木が生い茂る境内は闇に包まれ、木陰に遮られ月明りすら入ってこない。


「……」


この神社は鈴菜の家から最も近い神社で、鈴菜も毎年この神社に初詣に来ている。

鈴菜はじっと鳥居を見つめた。

……昔、ここで何かあったような気がする。

小学校の頃、ここで誰かと……。

考え込んだ鈴菜を、和泉が不思議そうに見る。



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