センセイと一緒【完】



授業の後。

机の上を片付けていた鈴菜に、尚哉が声をかけた。


「森下さん」

「あ、はい」

「今日の歴史研究部ですけど、資料が図書室に置いてありまして。運ぶのを手伝ってくれませんか?」

「第二書庫ですか?」

「ええ。ちょっと量が多くて。僕も一緒に行きます。社会科準備室にいるので、授業が終わったら声をかけてもらっていいですか?」

「あ、はい。わかりました」


こくりと鈴菜は頷いた。

鈴菜は歴史研究部に所属している。

活動は毎週火・木で、内容は日本史や世界史の研究だ。

4月に転入した当初は鈴菜はどの部活にも所属してなかったのだが、一学期に図書委員になったことをきっかけにこの部活の存在を知った。

そして図書委員として資料の調査や運搬をしているうちに、いつのまにか入部していた。

部員は6人。あまり多くはないが、アットホームな雰囲気で居心地の良い部活だ。

ちなみに顧問は尚哉で、副顧問は世界史の長野先生だが長野先生はほとんど姿を見せない。

実質、尚哉が一人で顧問をしている状態だ。

鈴菜は次の授業の教科書を出し、ノートを開いて準備を始めた。

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