センセイと一緒【完】
夕方。
歴史研究部が終わった後、鈴菜は家への道を急いでいた。
鈴菜の家は街の中心にほど近いところにあり、学校までは直通バスで20分だ。
ちなみに和泉の家はバス停でひとつ離れたところにある。
徒歩にして5分ほどといったところだろうか。
家に着き玄関に入ると、リビングから母の声がした。
「おかえり、鈴」
言いながら廊下に出てきたのは……
森下勝子。47歳。
鈴菜の母で、平日の昼間は近所のスーパーでパートをしている。
そして。
「あ、おかえり~、鈴」
リビングのソファーにジャージ姿でごろんと横になっているのは……
森下春菜。25歳。鈴菜の姉だ。
市内の大学院に自宅から通学している。
少し年が離れているせいか、昔から春菜は鈴菜を可愛がってくれた。
ちなみに春菜は尚哉とは中学時代の同期で、面識があるらしい。
鈴菜は良くは知らないが。