センセイと一緒【完】
……あの壮絶な日々。
和泉は両親の喧嘩が始まると逃げるように家を飛び出した。
そして鈴菜の家に行き、鈴菜と一緒に遊びながら時間をつぶした。
鈴菜と遊んでいると自分が普通の子供でいられる気がした。
それは柊史も同じだっただろう。
三人はよく、近くの小川で日が暮れるまで川遊びをして過ごした。
どこか暗い兄の表情が、鈴菜を前にしているときだけは年相応の明るいものになった。
きっと兄も鈴菜に救われていたのだろう。
――――だから。
鈴菜には幸せになってほしい。
自分と兄の心を救ってくれた鈴菜。
鈴菜が幸せになるために、自分はやるべきことをやる。
和泉はひとつ息をつき、ゆっくりと立ち上がった。
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