センセイと一緒【完】

3.黒い蜘蛛




<side.柊史>



16:30。

柊史は職員室の脇にある小さな会議室で、資料に目を走らせていた。

読んでいるのは4月にまとめた『学年指導計画』だ。

柊史の他にも数人の先生が同じテーブルで資料を読んでいる。

その中には尚哉もいる。

この学校では毎週一回、授業が終わった後に、同じ学年の教室を持つ教師が集まり『学年部会』を開いている。

今日は10月に入って3回目の学年部会だ。


「来週は文化祭ですね~」


2年A組の担任の藤代先生がのんびりと口を開く。

その隣でE組の担任の平井先生が困ったように頭をかいた。

平井先生はもう還暦に近いベテランの数学教師だ。


「うちの組は焼きそば屋をやることになりまして。衛生的に大丈夫なのか今から心配ですよ~」

「そうなんですかー。うちは写真屋をやりますよ。コスプレして写真を撮るらしいんですが、どうなることやら……」


2年のクラス担任にとっては文化祭は頭の痛い行事らしい。
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