センセイと一緒【完】
ハートが乱舞するそれらの声を聴きながら、鈴菜はハハと内心で笑った。
確かに和泉がカッコいいのは認める。
一度見れば忘れられない美形だ。そんな和泉に憧れる女子生徒が多いことも頷ける。
ただし問題は。
――――和泉が生物分類上、女であるということだ。
フルネームは芹沢和泉。17歳。
鈴菜と同じ2年B組に所属する、才色兼備の麗人。
鈴菜とは幼稚園の頃からの幼馴染で、鈴菜が札幌や東京にいる間も友情を育んできた。
その美貌とさっぱりした気質で昔から男女問わず人気があったが、和泉はなぜか鈴菜を異様に気に入っており、鈴菜は昔から和泉に振り回されてきた。
……いわゆる腐れ縁というやつである。
鈴菜をからかうことが三度の飯より大好きというはた迷惑な嗜好の持ち主ではあるが、友人に対する情の厚さは鈴菜も認めるところである。
ちなみに桜羽南高校は女子生徒でもズボンの着用が認められており、ズボンかスカートか、選んで着ることができる。
鈴菜はスカート派だが、和泉は入学当初からズボンで通している。
それは和泉の右足全体に火傷の痕があるからであるが、それを知っているのは鈴菜や先生など、ごく限られた人間だけだ。