センセイと一緒【完】



言い、弘子はくすくす笑いながら柊史の首筋に唇を寄せる。

柊史は大きく息をつき、ソファーの背に寄りかかった。

……高校の頃から柊史は女に困ったことはない。

柊史が何もしなくても女の方から寄ってくるのだ。

女達に言わせれば、自分の容貌や仕草、言動がそういう雰囲気を醸し出しているらしいのだが……。

いつだったか。

ある女に言われた言葉を柊史はぼんやりと思い出した。


『あなたはまるで蜘蛛のようね。女は知らないうちにあなたの糸に引っかかってしまうの。で、もがいているうちに雁字搦めになっていく……』

『……』

『あなたは無意識のうちに糸を張っているのよ。だからタチが悪いわ。それにあなた、女をエサとしか思ってないでしょ?』


なぜだか今になって女の言葉を思い出す。

柊史は弘子の唇の感触を首筋に感じながら、ため息をついた。

……糸を張るのも、糸に掛かったエサを食べるのも蜘蛛の本能だ。

ただ体の欲望を満たすためだけに女を抱く。

それは女の方も同じだ。

持ちつ持たれつ。ギブアンドテイクの関係。

しかし。


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