センセイと一緒【完】

4.冥土喫茶




午後。

鈴菜は2年B組の教室に戻り、ウェイトレスの衣装に着替えた。

ウェイターはウイングカラーのシャツに黒のソムリエエプロン、ウェイトレスは黒いメイド服の上に白いフリルエプロンという王道な格好だ。

衣装は貸衣装屋でまとめてレンタルしたらしい。

バックヤードで身支度をしていた鈴菜だったが、ちょうど戻ってきた和泉に捕まり、バックヤードの奥へと連行されてしまった。

ウェイターの衣装を身に着けた和泉は、思わず見惚れるほど格好いい。


「よく似合ってるよ、鈴! このまま持ち帰って人形にしたいぐらいだよ~」


和泉は言いながら手近にあった化粧道具を取り、鈴菜の顔にパフパフと化粧を始める。

鈴菜は仰け反ったが、和泉は構うことなく化粧を続ける。


「えっ、いいよ、和泉っ……」

「だーめ。どうせなら完璧なメイドを目指さないとね? ……男を一撃で冥土に引きずり込むような、完璧なメイドをね……」


ふっふっふ、と笑いながら和泉は鈴菜の顔に化粧を施していく。

完全に遊ばれている。

と思いつつも、鈴菜は和泉の強引さに勝てたためしがない。


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