センセイと一緒【完】
<side.和泉>
和泉はウェイター姿からジャージに着替えた後、弓道場へと向かっていた。
弓道場は正門を入り左手の奥の方にある。
途中、体育館の裏庭を抜けようとした時、そこに見覚えのある男がいるのに気付き和泉は足を止めた。
「……笠原?」
直樹の隣には、鈴菜と同じぐらいの背丈の長い黒髪の少女が立っている。
この近くにある中学校の制服を着ており、片手には通学鞄を持っている。
和泉レベルとまではいかないが、なかなかの美少女だ。
「おや。お邪魔だったかな?」
「……芹沢?」
和泉に気づき、二人は驚いたように和泉の方を向いた。
そんな二人の視線の前で、和泉はゆっくりと二人に歩み寄った。
「こんな所で逢引かい? 生徒会長サン?」
「違う。これは妹の沙月だ」