センセイと一緒【完】
直樹の言葉に、隣にいた少女が和泉に向き直った。
顔を上げ、きらきら光る瞳で和泉を見る。
「芹沢先輩ですよね! 兄から話は聞いてます」
「……え、そうなの?」
「すごく男前な男装の麗人がいるって。私、一度お会いしたかったんですっ」
言い、和泉に一歩近づき、びしっと背筋を伸ばしてぺこりと頭を下げる。
「あたし、光星中学三年の笠原沙月です。よろしくお願いします!」
見た目にそぐわず中身は体育会系らしい。
和泉はくすりと笑い、ぽんと沙月の頭を叩いた。
「いいね。礼儀正しい子は好きだよ、あたし」
「……芹沢。見境なしに口説くのはやめてくれないか」
「人聞きが悪いな。可愛い女の子が好きなだけだよ、あたしは」
「それを見境がないと言うんだ」
呆れたように直樹は言う。
和泉はくすくすと笑い、直樹を見た。