センセイと一緒【完】
そしてその隣で、和泉も矢をつがえている。
尚哉と同じく白い弓道衣に黒い袴という格好だが、尚哉と違うのは胸当てを付けているところだ。
的を見つめる和泉の横顔も、いつになく真剣で目が離せない。
「……今、あの二人、勝負してるんですよ」
鈴菜の後ろから、先ほどの男子生徒が小声で囁く。
鈴菜は振り返った。
「え、そうなんですか?」
「8射でどちらがより的中するか。今、5射目が終わったところです」
見ると。
的には既に矢が5本ほど突き立っている。
遠いのでよくは見えないが……
互角の勝負のようだ。
「二人とも相当の腕前ですからね。和泉さんは去年、県代表として総体に出ましたし、白崎先生も五段ですからね」
「……」
よくわからないが、とにかく二人とも凄腕らしい。