センセイと一緒【完】
鈴菜は息を飲んで二人を見守っていた。
二人とも物凄い集中力で、鈴菜がいることに気付いた様子もない。
張りつめた空気が辺りを包む。
そして、8射目を終えた後。
二人はそれぞれ礼をし、射場を後にした。
よくはわからないが、雰囲気からしてどうやら尚哉が勝ったらしい。
尚哉が弓道部の副顧問をしているというのは知っていたが、実際に見たのは初めてだ。
驚きの余韻に浸っている鈴菜の前で、二人は静かに道具室の方へと戻ってくる。
そして見学席にいた鈴菜に驚き、声を上げた。
「森下さん?」
「あれ? ……鈴っ!?」
和泉は道具を置き、鈴菜に駆け寄る。
その驚いたような表情に鈴菜は苦笑した。
「どうしたの、鈴? こんなところで?」
「これ、忘れ物」