センセイと一緒【完】
袋を差し出した鈴菜に、和泉はがばっと抱きついた。
弓道の後のせいか、和泉の体はいつもより熱く少し汗ばんでいる。
「ありがとう、鈴~! ……ね、あたしの雄姿、見てくれた?」
「うん。すごいね、和泉」
素直に言った鈴菜に、和泉はますます抱きつく。
鈴菜は和泉の肩をぺしぺし叩いた。
「……く、苦しいって、和泉っ」
「鈴が見てるってわかってたら、もっと気合入ったのにな~」
和泉ははぁと息をつき、鈴菜を解放した。
そんな二人の傍に、道具を置いた尚哉が近づいてくる。
「二人は本当に、仲がいいんですね」
穏やかな瞳で二人を見下ろし、尚哉は言う。
その白皙の額にうっすらと汗が浮かんでいることに気付き、鈴菜はドキっとした。
どうやら相当な真剣勝負だったらしい。
ドキマギする鈴菜に、尚哉は優しく笑いかける。