センセイと一緒【完】
直樹も真剣な顔でノートに何かを書いている。
直樹も和泉も成績は学年中トップクラスで、試験のたびに掲示板に名前が張り出されている。
ちなみに鈴菜は上から数えて50番目あたりだ。
一学年は200人程度なので、中の上といったところだろうか。
「……ではここで、この主人公が盗人になるか飢え死にするか迷ってるわけだけど。このときの心境について、誰かわかる人?」
藤代先生はぐるりと見回しながら言う。
鈴菜は息をこらして教科書を見つめていた。
……誰も手を上げない。
とそのとき、前の方の席に座っている和泉が手を上げた。
「はい、芹沢」
和泉は座ったまま、その鴇色の唇を開いて言う。